裸婦の目触れろ、白蝮踏め

安酒と薬にどっぷり漬かってラリりながら書いてるオナニー文章です

初恋イエローカード

もうFF内にもLINEにも年賀状の住所録にもいないから見られてないと信じて。
ぼくの初恋の話。
小3の時にはじめて同じクラスになった。それから小4、小6でも同じクラスだったKくん。はじめて席が隣になってから、よく一緒に帰るようになった。うちの小学校では自宅のある地区ごとに帽子のリボンの色が分かれていて、Kくんもぼくも「黄色」だった。けれど本当は校門を出て一本目の分かれ道でぼくはまっすぐ国道沿い、Kくんは右に曲がって山側へバイバイになるはずで、分かれ道で先生が見張ってる日は一緒に帰れなかった。先生が見てない日だけ、ぼくは少し遠回りして山側に登った。
Kくんは近くの山を切り取った地区に住んでいて、その地区の入り口には集会所があった。その向かいのフェンスでよく暗くなるギリギリまで話してた。
その頃好きだったアニメの話、Kくんがニコ動で見て勧めてくれた神聖かまってちゃんの話、先生の悪口、あとはなんだったかな。ピラメキーノの話もした。
小3から中1くらいまで?の4年間は、年賀状とバレンタイン・ホワイトデーは交換してて、小5のバレンタインは雪が積もってるなか自転車でチョコレート配った。もちろん最初に行ったのはKくんの家。
不思議なことに隣の席や同じ班になることが多くて、折り紙の裏に落書きしては交換しあって笑ってた。
ある年のバレンタイン前、ぼくはとある本で面白い事を知った。
重曹の水溶液で白い紙に文字を書くと、お湯に浸けなければ読めない暗号ができることを。
ぼくは「いつも仲良くしてくれてありがとう」なんて通りいっぺんの手紙と一緒に、1枚重曹でメッセージを書いて封をした。内容はもちろん、「スキ」。
やってしまってから羞恥心で後悔して、メッセージを読みたくて何度も解読方法を聞いてくるKくんをとことんまでにはぐらかした。

そしてぼくたちは卒業し、中学生になった。
中学では確か一度も同じクラスになることはなくて、Kくん自身も他に交遊関係ができたので一緒に帰ることもほとんどなくなった。
それでも見かけたときは声をかけてくれて、体育大会の応援旗にデザインが採用されたときは褒めてくれたし、剣道部の練習シフトが職員室前の小グラウンドで帰宅部だったKくんの下校時刻とかち合うと、笑って手を振ってくれた。
ぼくはその時まだ高校生になって自殺未遂で喉を潰すなんて思ってもいなかったから、「声優になりたい」とずっと言っていた。図書委員の月別目標を発表する委員長のぼくは舞台に立ってマイクを持つ度そのアニメ系声に全校生徒がざわめいて笑われたけれど、Kくんは「今回もよかったよ」と褒めてくれた数少ない生徒のうちの一人だった。

あるとき、放課後LINEでやりとりをしているとき突然「気づかへんの?」とメッセージがきた。
ぼくが「なにが?」と聞き返すと、「好きなんやけど。てゆーかお前かわいすぎんねん」と返ってきた。
もちろんぼくは嬉しくて仕方がなかったが、何故か、本当に何故か羞恥心が勝ってしまい、その告白を断ってしまった。

そしてぼくたちはどうにもならないまま中学も卒業して、別々の進路に進んだ。
Kくんは自転車で15分の私立高校を専願し、ぼくは地元1番の公立進学校を落ちて電車で1時間かかる市内のキリスト教系私立高校に進学した。

高校に進むにあたってぼくはLINEのアカウントを作り直し、同時期にKくんもアカウントを消していたらしく、再び言葉を交わしたのはTwitter上で偶然再会したときのDMだった。
ノリでとんとん拍子に話が進み、ケーキ屋時代のぼくのバイト終わりに新しくできたばかりのセブンイレブン前で会う約束をした。
そこで何を話したかは全く覚えていないが、高校に入ってKくんには彼女ができたらしく、なおかつその子と別れたということを聞いたのは覚えている。


ねぇ、君が好きだった神聖かまってちゃん、ぼく今でも聴いてるよ。

小学校の卒業式の決意表明で大声で言った「ゲームクリエイターになりたいです」って、あれ君の真似だったんだよ。

あのとき君が「かわいい」って言ってくれたから、ぼくは今でもかわいくあろうと頑張れてるよ。

君がホワイトデーにくれた水色のハンカチ、まだ家にあるよ。

同じクラスの席替えのとき、ぼく机の下でこっそり近くの席になれるおまじないしてたんだよ。

ぼくがずっと男物の靴履いてたのは、新しい靴を買うとき君の靴に似てるやつ探して買ってたからだよ。

小学校の時の一人称が「俺」だったのは、君と一緒にいても噂にならないようにだよ。

小4でソフトボールやめて髪伸ばしはじめたのは、それでもやっぱり女の子として見てもらいたかったからなんだよ。


思い出した今ちゃんと整理しとかないと、またひとつ黒歴史が増えちゃうだけになっちゃいそうだったから。
ぼくより一足先に大学生になる君は、別の子と幸せになってるかな。
ぼくのこと好きだったってこと忘れちゃうくらい好きな人に、君も出会えているといいな。

幸せになれなかったぼくからの。