裸婦の目触れろ、白蝮踏め

安酒と薬にどっぷり漬かってラリりながら書いてるオナニー文章です

壁の中の恋

閉鎖病棟で好きになってしまった男性看護師さんに、告白しました。

その人は川端さん(もうTwitterで言ってしまっているので書きやすさ重視でさらけ出します)といって、夜間高校を卒業後看護師の資格を取るために勉強し、准看護師としてぼくの通う病院で働いています。

川端さんの顔を見ると、声を聞くと、前の退院のときのお手紙でもう戻ってこないとかっこよく言いきっていたのに短期間とはいえ閉鎖病棟に戻ってきてしまったこと、また顔を合わせてしまったことがすごく申し訳なくて恥ずかしくて、もういっそ死んでしまっていればよかったのにと思ってしまって何度も気が荒れてしまって、声をかけていいのかどう扱えばいいのか、困らせてしまっていたと思います。

最初の入院のときからぼくは川端さんのことが好きでした。

それでも看護師と一患者、そうでなくてもこんな気の触れた女に好きになられても困るだけだと思って、手に入らないから美しく見えているだけなんじゃないかと思って、年齢を偽ってTinderで男の人を何人も引っかけてみたり彼氏を作ってみたりして、前に川端さんに言われた「自分の安売り」をして、なんとか今幸せにやれている、ようやく過去に打ち勝ったと勘違いしていました。
けれどやっぱりずっと川端さんのことが忘れられていなかったのでしょう、入院が決まって真っ先に出てきたのは周囲への対応や家計の事ではなく、「退院してたった1年で戻ってきてしまうなんて、川端さんの前でどんな顔をすればいいんだろうか」ということでした。

そんな事を考えている傍らで彼氏は退院を心待ちにしてくれているし、もう遊びで女性を手玉にとっていられる歳ではない27歳の彼氏はきっとぼくを真剣な結婚相手として選んでくれているでしょう。
そんな彼氏にも出会って付き合って半年、ぼくがいまさら他の男性に執心していると知ったらきっと残念がるという程度の話では済まないと思います。ましてや、性格も中身も仕事中の姿しかろくに知らないような相手を何年も好きでしたなんて言えば、彼氏の方の精神状態も心配になります。

生活も学歴も異性交遊も中途半端で、失って還ってこないものばっかりで、もうさっさと死んでしまいたい気持ちでいっぱいです。
3日で治すと豪語して入院してきたものの、実際はもうこの病気は一生治らないものなのではないかと思ってしまいます。
それならその「一生」をできるだけ短く、すぱっと終えてしまいたい。

2年前の7月1日、奈良県の女子高生がインターネット配信をしながら近鉄の特急列車に飛び込んで自殺しました。
ぼくはその子の死に様にすごく憧れていて、7月1日はその子の死んだ大和郡山駅に花を手向けに行こうとしていました。
しかし入院によってそれすら叶うことなく、ブログでの追悼文だけで今年も終わってしまいました。
生きている人間どころか、死者との交流すら持てずに息をしていて、逆にどの辺りが「生きている」といえるのでしょうか。

外来を受診する前日「ぼくって生きてますか」と病院に電話を掛けて呆れたように「生きてますよ、聞こえてます」と言われたけれど、この世界にいる人間誰に聞いても「生きている」と言うに決まっています。みんなぼくを騙して現実に還らないように見張っているんです。もうぼくは分かってます、もう騙されません。
あの量の薬を飲んで、傷一本で助かるなんて虫のいい話あるはずがなかったのにどうして今まで気づかなかったんだろう。

早く9月に帰りたい。
9月に帰ってちゃんと自分で死にたい。
自分が本当は死んでいるということに気づいたら本当にこの世から消え去ると思っていたけれど違うようなので、きっとこの世界でも死ぬ必要があるんだと思います。
退院して帰ったらなるべく早くそれを実行するとして、入院して護られている今できることは何かと考えたとき、やっぱり思い浮かんだのは最後に川端さんにきちんと想いを伝えてきちんとフラれることでした。

川端さんからしてみればぼくが入院していようが退院していようが興味はないと思うし、ぼくがあの手紙に何を書いたかもきっと忘れているでしょうが、ぼくももう思い出せませんが、少なくとも川端さんにもう会わないように自分を追い詰めるためすごく恥ずかしいことを書いた記憶があります。川端さんを諦めるために日々の生活も頑張れていた、ぼくにとっては本当に大切な一通でした。

もうぼくは死んでいるので、どんな非人道的なことを言われても傷つきません。
だからぼくを、目の前のそいつを、罵り嘲り謗り倒してください。
どうか、看護師川端さんという存在を心のうちに封じ込められるくらい嫌いになって現世に還らせてください。

そんな気持ちを込めて好きと言ったのに、「がんばったね、ありがとうね」と背中や頭を撫でてくれて、肝心のお返事は貰えないまま夜になってしまった。
もう優しさに心が虚無になってしまう。なんでぼくの推し看こんなに優しいの?なんでこんなに可愛いの?なんでこんなに不器用なの??
いや今罵れ嘲れ謗れって言ってたやん聞いてた??振れって言ってたやん聞いてた?????
マジで期待するぞ犯すぞ馬鹿、本当に馬鹿、馬鹿ばっかり。マジでちゃんとフラれなきゃ今回の入院の収穫全くない。
ぼくのものにならないくせに諦めさせてもくれないなんて卑怯すぎる。
あああああああずるい!尊い!可愛い!無理!眩しい!好き!好き!好き!!!!!
ここまで言わなきゃわからない?ここまで言わなきゃ気持ち悪いと思ってくれないくらい鈍感?
愛してるんだが!お前のことだよ!!
早く「気持ち悪い」って言えよ、「無理」って言ってくれよ頼むから、お願いだから……

[追記]
消灯後1時間ぼくに割いてくれてお話ししてくれました。
自分がいかに川端さんのことが好きかも全部黙って聞いてくれて、逐一「ありがとう」と言ってくれました。
全部聞いてから、「自分は看護師だから患者さんと個人的な仲になることはできない」とまっすぐ目を見て言ってくれました。
そうやって何を言うときも目を見てちゃんとはっきり伝えてくれるところも好きでした。
照れたらあからさまに目線そらすところも。
もっともっと嫌いになるような凄まじい罵倒がほしかったけど、川端さんは優しいのでぼくを傷つけるようなことは言えなかったんだと思います。
代わりにぼくも涙は流さずに済みました。
最後の最後まで大好きが加速するってぼくの中ではなかなかない経験でした。
愛していました。幸せになってください。ぼくの分まで。